中国家庭料理 マリーン

今回は、お店の紹介ではありません。もう今は無いお店の思い出を記してみたいと思います。


奈良県の西名阪の天理インターチェンジのところにあったお店です。今は跡形も無く、ガソリンスタンドになってしまっております。その名も「中国家庭料理 マリーン」

確か、「地中海料理 マリーン」っていう雰囲気のお店を、中国人のおっちゃんとおばちゃんが居抜きで、特別お店の改造をせずに営業されておったと記憶しております。


このお店は何と言葉に表してよいのかわかりませんが、とにかくものすごく「居心地のよい店」でした。

奥に座敷なんかもあって、そこを陣取ってしまうと、くつろいでしまって、なかなか帰れませんでした。
お店のおばちゃんも、特に何も言わず、それどころか、さんざんダラダラした後に「もう帰るわ〜、お勘定お願いします〜」って言うと、「アラ、モウカエルカ?」なんて、カタコトの日本語で、まるで親戚のおばさんみたいなことを言うてくれはりました。

夏場、夕方6時頃にお店を訪れると、我々が最初のお客さんだった場合など、そこからエアコンを入れ始めてくれはるという、何とも懐かしい雰囲気。昔は、そんな店多かったように思うのですが。いかがでしょう?


「中国家庭料理」と言うのも、まさに「その通り!!」っていう感じ。

「中華料理は味も濃くて、毎日は食べられない」なんていう、僕の勝手な思い込みは、ここで食事したときに一気に吹き飛びました。何とも、食べやすい、濃すぎず、さりとて薄すぎず、ちょうどよい味でした。

全体的に、飛びぬけて「コレがおいしい!」っていう料理があった記憶はあまり無いのですが、僕は「もやし炒め」が好きでした。そういうところも、まさに「家庭料理」な雰囲気。


ああ、そういえば、食事してたら、どこからか作業着のおっちゃんがお店にふらぁ〜って入ってきて、ジョッキに勝手に生ビール注いで、勝手に飲んで、そのまま出て行くという状況を目撃したこともありました。何といいましょうか、そういうシチュエーションがすごく似合うお店でした。違和感が無いのですよね。

お店がつぶれた理由は、色々とウワサは聞きましたが、僕は真相は知りません。


「居心地のよいカフェ」とか「くつろげるバー」とか「隠れ家的なお店」とか色々ありますが、そのどれもが、あのときの「マリーン」には勝てないのではないか。ちょっとおおげさですが、今では僕はそう思っております。

僕にとっては「伝説の店」ですね。