恐怖の“F”ピッチ

私が影響を受けたサックスプレイヤー、本田雅人氏がある本で語っていた、「プロとアマの違いは“リズム”と“ピッチ”だ」

 

この言葉、痛感する。

 


今回のブログはサックスのマニアックな話だが、勘弁願いたい。
サックスは(各楽器の個体差はあるが)各音のピッチ(音程)がとても不安定な楽器である。
最初にビックリしたのは、サックスでいう真ん中の“レ”の音がかなり高くなることだった。
真ん中の“レ”・・・リコーダーで説明しよう。
サックスの運指は小学校の時にみなさんも吹いたことのあるリコーダー(たて笛)と同じだということは、私の過去ブログでも紹介した。
リコーダーの運指、覚えています?
笛の裏側の左手の親指の穴は押さえている前提で、両指で穴を全部押さえたら低い“ド”だ。
右手の小指を外したら低い“レ”、さらに薬指も外したら低い“ミ”だ。
右手の指をすべて外したら低い“ソ”となり、その上の高い“ド”は左手の中指だけ押さえている状態だ。
そして次が問題の高い“レ”。
この時リコーダーでは左手の親指の穴を半分だけ開けて、あとは低い“レ”の時と同じ運指となる。
サックスでもほとんど同じで、違うところはサックスの場合、直接穴を指で押さえることはしない点だ。(クラリネットはリコーダーのように直接指で穴を押さえたりする。)
だから、左手の親指のところには「オクターブキー」というものが付いており、それを押すことで高い“レ”から上の音を出すことが出来る。

 

話を戻すがこの高い“レ”はサックスの構造上どうしてもピッチが高めに音が出てしまう。この“レ”の上の“ミ”も高く出るのだが、“レ”の下の“ド”は逆に低く出る。
よって、速いフレーズの場合は調整のしようがないが、その音を吹き延ばしたりする時はピッチが狂うと聞きづらくなるので、アンブッシュアで調整をする。
調整とは簡単に言うと、アンブッシュアを緩めればピッチは低くなり、締めれば高くなるのだ。

 

この高い“レ”、実音(ピアノでいうところ)“F”はピッチが合わせにくいので、私にとっては怖い存在だ。
私は練習中は必ずチューナーを楽器に付けているのだが、これは通常の吹き方の時にどの程度ピッチがズレているのかをチェックするためだ。

 

「わさび」オリジナルアルバム「よろづあります。」。
このアルバムは8曲入りだが、2曲、2曲、4曲と3回に分けてレコーディングをしている。3年ぐらいかかって・・・
最初に録音した2曲は「綴花」と「古都」で、この2曲を収録した自主制作CD(通称「白わさび」)がある。
このCD内に入っている「綴花」で1箇所、吹き延ばしの“F”の音程が低いところがあるのだ。
収録後、ずっと気になっていた。
そして、2年後「よろづあります。」を制作する際、ちあきさんの加入により一部取り直しが必要となり、その時に乗じてピッチを直してもらった!
今のレコーディングはデジタル化されているので、すべての音はグラフ化されて目で見ることが出来る。なので、ある一部分の音のピッチを変えることなどわけがない。

 

晴れて、「よろづあります。」はベストな状態になったのだった。
問題の“F”が出てくる場所は、「よろづあります。」でいうところの中間部にあるピッコロソロのちょっと前だ。
しかし、「白わさび」ではちあきさんが参加していないためピッコロソロ自体がない・・・
そもそも「白わさび」を持っている人が皆無かも・・・・