自己回想 その6

私には予感があった。
「俺は中学1年までエレクトーンを習っていた。だから、ドラムを叩けるはずだ。」

ドラムとエレクトーンの共通要素は?
そう、両手両足が別働であることだ。

先にも書いたが、もともとドラムには興味があった。
こうして、本当のドラマーが見つかるまでの期間限定ということで、私のドラム人生がスタートしたのだった。
この先長い、長いドラム人生になるとは知らずに・・・・・



大学時代のバンド活動の発表の場は、何と言っても学園祭だ。
女性ボーカルだったので、プリ・プリをはじめ、小比類巻かほる永井真理子などのコピーをした。
スポットで佐野元春コピーバンドもやった。
ドラマーの募集など結局しなかったし、私も面白がって練習した。
初めのうちはどんどん上手くなっていく。
自宅に練習用のドラムセット型のPADシステム(安いやつだが)を設置し、スネアやキックも購入した。
助っ人で叩きにいったこともあった。

大学時代に組んだバンドは大学までであったが、社会人になってから知人の紹介で入ったバンドがあった。
大学時代と大きく違うのは、私が本来サックス吹きであることを知らない人たちとバンドを組むことになってしまっていることだ。
つまり、その人たちから見れば私はドラマー以外の何者でもない。



ドラムを叩いている間、後ろめたさと「私はサックス吹きだ」という想いの中にいた。
後ろめたさは他人の楽器を演奏している・・・という感覚から抜け出せないでいるからそう感じたのだと思う。
社会人になったこの時期、まったくサックスは吹いていなかった。

でも、今と変わらない「私はサックス吹きだ」という想いだけは、ずっと持っていた。