自己回想 その10

その昔、食べず嫌いはお母さんに怒られた。
楽器も吹かず嫌いはダメだ。

テナーを吹き始めて、アルトといろいろ違うことに驚いた。
まず、何と言っても吹き易い。
う~ん、表現し易いって言い方のほうが適切か・・・
あくまでも、私にとってだが。
気持ちよく音を割る(吹き方の一つ)ことが出来るのが、すごく楽しい。
そして、サックスにとって(いや、リード楽器にとって)私が感じる最も難関なのは、何といっても「リード」。
このリードには悩まされ続けている。
ま、サックス(木管楽器)を吹く人にはつきもんでしょうが・・・

私がよく購入するアルトサックスのリードは10枚入り。
購入後すべてを吹いてみるが、うち使えそうなのは1~2枚。
残りは・・・
今までの経験値からだと、ほとんど役にはたたない。
最初のハードルを通過した1~2枚だが、使えるにもレベルがあり、「これは!」という1枚に出くわすことはあまりない。
だから、常にリードのコンディションを気にしていないといけない。
これは、アルトの場合。

テナーは違った。
テナーのリードは5枚入り。
リードも大きい分、アルトより割高。
「何枚買わなあかんねんやろう・・・」と危惧していた。
初めてリードを買ったときのことを今でも覚えている。
まず、始めの1枚。
「お、ええ感じなんちゃうん! まずは1枚、目処がたってよかった!」
次の1枚。
「お! これもええ感じやん! さっきのと区別がつかへんぐらいやん!」
3枚目。
「あれ? これもええ感じやん! どれも同じ感じやし・・・」


結局、5枚とも個体差がほとんどなかった。
ま、5枚とも使えるのはたまたまだったかも知れないが、大方、リードに大差はないというのが、私から見たテナーのリードの特徴だ。
これは精神的にもすごく有難いことだった。



テナーを吹き始めて少し脳裏をよぎった。

「もしかして、俺はアルトよりテナーの方が向いているんちゃうか・・・?」