自己回想 その12

この時期考えていたことは・・・・

テナーでアルトのように吹くこと。
そういうアプローチもありではないか・・・

どうしても、アルトへの羨望が捨てきれないでいた。
でも、わかっていた。
もうテナーと付き合い出してから7年程が経ち、「あ~、俺はこいつと結婚するんやな・・」と思っていたし、納得もし、それだけテナーを好きにもなっていた。
アルトのことは「昔、本気で好きになったやつがいたな・・・」って感じだった。



OB会に参加して2年目ぐらいだったかな?
「わさび」に加入したのは。
初めて話を聞いたときは、嬉しかった。
トランペットにトロンボーンというホーンセクションがある、オリジナル中心のバンド。
そんなバンドで吹いてみたかった。

私が最初に入った頃の「わさび」は今とは随分と違うメンバーだった。
私はこう見えて実は人と馴染むのに時間がかかるほうである。
だから、始めたころの「わさび」は何だか完全アウェーの中でいるようで、すごく居心地が悪かった。
今は、有難いことに、のんびり演らせていただいている。


話を戻すが、私にとってサックスを吹く演奏機会が増えたこともあり、そろそろ楽器を新調したいと思い始めていた。
以前から、吹いてみたいと思っているメーカーがある。
私にとっては憧れのメーカー。
セルマー」。

最初に高校の吹奏楽部に入ったときに親に買っていただいたのは「YAMAHA」のアルトだった。
そして、大学の途中でローンで購入したのが「セルマー」のアルトだった。
この「セルマー」のアルト、あの時はやっとの思いで購入し、とうとう手に入れた憧れの「セルマー」。
でもあんまり吹くこともなく社会人になりドラマー人生を送っていたので、途中から大学時代の同じサックスパートの同期に貸し出していた。
初めは短期でという話だったが、私が演奏機会がないため結局その同期に譲ることになった。
もったいない気もしたが、ずっと他人に抱かれ続けている楽器に未練はなかった。
その後、オールディーズを始めたときに購入したテナーは「ヤナギサワ」。


楽器は高価なものである。
一生の間で、そう何回も購入できるものではない。
今、楽器を買えば、もう当分の間楽器を買うことなど出来ないであろう。
今、自分が吹いている楽器はテナーだ。
だから、購入するのはテナーなんだが、その辺が素直に受け入れられなかった。
ラストチャンス。
いや、ファイナルアンサー。


何日間も自問自答を繰り返した。