自己回想 その16


EWI」…正式にはウインド・シンセサイザー
平たく言えば、「電子縦笛」。

この楽器を世に広めたのは、「T-SQUARE」のフロント、伊東たけし氏だ。
伊東氏は「THE SQUARE」でデビュー後、アルトサックス以外のメロディー楽器として吹いておられた楽器で「リリコン」というモノがあった。
その当時「リリコン」は世界に数台しかなく、修理も儘ならなかったらしい。
音源はアナログで本体は銀色の筒。
これが、何ともいえない良い音を出しおる。
非常に調整も難しい楽器だったということで、この「リリコン」に取って代わる、もっと安定した楽器が必要とされていた。

そこで、AKAI楽器は伊東氏と共に「EWI」の開発に乗り出したのだ。
両者の最大の相違点は「リリコン」はアナログ音源で、「EWI」はデジタル音源ということ。
そして何年もの間、試作を繰り返し、ようやく完成。
一般にも売りに出されたというわけだ。


EWI」の吹き口(マウスピース)は誰もが吹けるように、穴が開いているだけ。
くわえて息を吹き込めば音が鳴る。 そう単純。
これを上下の歯で強く噛めばアンジュレーション(ビブラート等)がかけられる。
もう少しだけ説明するなら、小学校のころ吹いたリコーダーは穴を指で塞ぐことによって「ド」とか「レ」とかを鳴らした。
EWI」も似ていて、穴に該当するキーセンサーに触れることによって音が変わる。
いわゆるタッチセンサーなので、軽く触れただけでも反応するので、慣れるまで最初の内はよく邪音が入ってしまうのだ。



EWI」の運指はサックスに似せているので、私はずっと自宅でのサックス運指練習用として使っていた。
もちろん、「T-SQUARE」の楽曲を吹いたりはしていた。
それを今では「わさび」の楽曲の中に取り入れている。
音を出すこと自体は簡単だが、これを1つの楽器として表現するにはかなり難しいと感じる。
未だになかなか納得いく演奏が出来ない。
でも、「わさび」のジャンルで「EWI」が入っているバンド、さらにはサックスにフルート、ピッコロ…こんな構成のバンドは他にはないだろう。
構成だけなら日本で唯一のバンドかもしれない。


それでも、サックスではどうしても入りにくい曲にはこの「EWI」を使うことで、

私の「わさび」での活動の場は広がったのである。